書塾花紅のみなさま、今年も夏が近づいて来ました。秋の作品展に向けて準備を始めましょう。とは言え、「作品制作と言ってもどうしたらいいかわからない」という方も多いと思いますので、簡単に解説しておきます。
書塾花紅では、「上手い下手」よりも「自分らしい表現ができたか」「充実した時間を過ごすことができたか」に重きを置いています。
1.作品の種類
書道作品には、大きく分けて「臨書作品」と「創作作品」の2種類があります。
臨書作品:古典作品の臨書(真似して書くこと)をした作品のこと
創作作品:自分の好きな言葉を自分の好きな書体、表現方法で書く作品のこと
2.作品のサイズ
半紙:A4より少し大きい、最も馴染みのあるサイズ
半切(はんせつ):約34.5×136cm 掛け軸に使われる縦長のサイズ。1/2などにして使うこともできます。
全紙:約70×136cm 半切の2倍の大きなサイズ
この他、色紙や書き初め用紙などもあります。どの紙も、縦長に使うことも横長に使うこともできます。
3.作品制作の流れ
臨書が基本練習、創作は発展練習のような位置付けです。創作を試みることによって気づきを得て、臨書に戻ることもとても効果的です。
①臨書作品の場合
- 臨書する古典作品の決定:学びたい書体(楷行草隷篆、かな)の作品や心惹かれる作品が良いでしょう。
- 文字・サイズの決定:作品サイズに合わせて文字数、一文字あたりの文字の大きさを考えることが必要です。また、文章の意味の切れ目を考えて文字を選ぶと良いでしょう。落款を入れるスペースも考えましょう。
- 練習:古典作品をよく観察して、半紙に練習しましょう。形をそのままに再現することを心がけましょう(形臨)。
- 本番:紙面上の文字配置をよく考え、必要に応じて罫線を引いた下敷きを用意することも良いでしょう。本番では、形の詳細を超えて作者の意図を読み取り表現していきましょう(意臨)。
- 落款:制作年、季節、月名、作品名、氏名など自由に入れましょう。落款印を押すと作品が引き締まりますので、ぜひご自身の落款印を持ちましょう(書塾では印の貸し出しもあります)。
②創作作品の場合
- 言葉の決定:漢詩、和歌、四字熟語など自分が心惹かれる言葉を選びましょう。初心者は一文字がオススメです。
- イメージング:どのような雰囲気で書きたいか、どんなことを伝えたいのかを考えながら、書体や紙面構成を考えましょう。書体辞典を活用して文字を集めていくこともできます。
- 用具の検討:硬い筆、柔らかい筆、濃墨、青系の墨など用具にもこだわってみましょう。色を入れたい場合は顔彩や色紙(いろがみ)などを添えても良いでしょう。
- 創作:自由に自分らしく表現していきましょう。何枚か書いて最も心惹かれるもの、魂が入ったと感じられるものを選びましょう。
- 落款:制作年、季節、月名、作品名、氏名など自由に入れましょう。落款印を押すと作品が引き締まりますので、ぜひご自身の落款印を持ちましょう(書塾では印の貸し出しもあります)。
4.お子さまの制作
書塾花紅では、お子さまの自由な創作活動を大切にしています。ご家庭でもお時間のあるときにどんな作品を書きたいか、お子さまと話す時間をとっていただければとてもうれしいです。
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- 言葉えらび:「どんな言葉を書きたい?」という問いかけから始め、お子さまが選んだ文字を否定することはほとんどありません(NGは「汚い言葉」「人を傷つける言葉」のみです)。お子さまによっては古典臨書を選ぶこともあります。
- サイズ:ほとんどのお子さまは半紙での創作活動となります。古典臨書を行うお子さまなど、大きな紙に書くことを勧める場合は保護者の方にお声掛けさせていただきます。
- 色付け・飾り付け:書塾では墨以外の画材が使えないの残念ですが、意欲のあるお子さまはご自宅で色鉛筆や色紙などで色付けしていただくのもとても良いと思います。