自由自在に鳥獣戯画、Mさんの場合(書塾の子ども7)



書塾の子どもたちについてお伝えするブログ第7弾!

今回ご紹介するMさんは、書塾を始めた2006年春、小学入学と同時に入塾してくれました。小1のMさんは本当に小さくて、何をやってもかわいかったのを覚えています。そんなMさんもすっかりお姉さん。

さて、Mさんの“才能”(心から「才能」と呼ぶにふさわしい)は一目瞭然です。こちらは小6夏の自由研究でMさんが描いた「鳥獣戯画」。模写ではありません。海に入るうさぎ、カエル。プール帽を被ったうさぎなんて本物の鳥獣戯画には存在しません。Mさんのオリジナルです。こんな技は、教える立場の私は全く持ち合わせていません(涙)。

自由研究で描いたオリジナルの鳥獣戯画。巻物。

自由研究で描いたオリジナルの鳥獣戯画。巻物。

 

こんなMさんも決してはじめから「鳥獣戯画」が描けた訳ではありません。この6年間の成長を見てみましょう!

小2の作品展では「星」を書いていました。字の周りにたくさん絵を描いていて、絵が大好きなのが伝わってきます。小3では「ねこ」。そう、Mさんは大の猫好き。

小4では「たくさんのねこにうもれたい」!この作品は書塾にて当時、かなり話題となりました。そもそも、言葉のセンスがいい。素直すぎる。自分の心をストレートに表現したこの作品に心打たれた大人がたくさんいました。さらに、この作品を書き出した頃からMさんの文字デザインのセンスも開き始めました。余白を感じながら、如何に文字を配置していくか。デザインは、手本を真似る書写とは全く違った感性と鍛錬が必要になります。

 

そしてこの頃、写真が残っておりませんが、書塾にある水墨画のテキストをふらふらと真似し出したMさんのその絵(たしか猫とか、牛とかだったと思います)の圧倒的な上手さ、正確さが印象に残っており、、、、

小5になった頃に私がMさんに一言、「Mちゃん、鳥獣戯画描いてみない?」とテキストを渡したところ、Mさんは「描きます!描きたいです!」と即答!!そして、、、

小学5年 M.S 「鳥獣戯画より」

小学5年 M.S 「鳥獣戯画より」

こちらが小5の作品展。記念すべき、Mさんの初めての鳥獣戯画作品です。正確で細やかな筆づかい、生きているような動物たちの表情は見事としか言いようがありません。もともと絵が上手なことに加え、手本の観察力、集中力、仕上げる構成力。「こんなふうに描けたら楽しいんだろうな〜」と私もうらやましくなってしまいます。

それからMさんは鳥獣戯画を描き続けています。2020年コロナ禍で開かれた上野の鳥獣戯画展の分厚い画集を持ち歩き、「鳥獣戯画甲巻を描き切ってみたい」と話しています。

不思議なことですが、鳥獣戯画を書き出してから、Mさんの書に対する姿勢も一段深くなりました。おそらく細かなところまで観察する力がつき、さらに筆の使い方も自由度が上がってきたのでしょう。小6の作品展ではガラリと変わり、古典臨書に挑戦してくれました。力強い特徴のある造像記を、正確に臨書してくれました!

小学6年 M.S 臨書 賀蘭汗造像記

小学6年 M.S 臨書 賀蘭汗造像記

 

こんな風に書の世界を自分らしく、着実に歩んでくれているMさん。書写も成長を見せてくれています。今年の書初め展では学校代表に選ばれていました。背景を知っているからこそ、うれしい。

最後のご紹介はこちら、この度書塾生みんなで書いている書塾の看板。Mさんの作品はこちらです。筆を持つうさぎ、カエル(こんなのも本物の鳥獣戯画にはいません)の素晴らしいことは言うまでもなく、こちらは「書塾花紅」の文字も自由でかつ美しく、本当に素晴らしい!

小学生の作品とは思えない看板。

小学生の作品とは思えない看板。

どれだけ書写が上手に書けても、自由に自分の書きたいものが書けなければ楽しくありません。Mさんは書塾で6年間書く中で、自由に、書きたいものを、書きたいように、書けるようになってくれました。

まだ12歳。これからどんな風に進んでいくのか、何を書いていくのか。10年後にはどうなってしまっているのか。私の想像を遥かに超えて行ってね。

 

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