「自遊」。この作品を完成させたとき、寧月は、寧月となった。
この作品を作ったとき、私は悩みの最中で、その一方で、身体全体を覆い尽くす暗いものを追い払うためが如くの強い創作意欲を抱えていた。まだ幼い息子を預ける機会を得たある日、頭の中のイメージを一挙に写しだすように作ったのがこの作品である。
そこには寧月の母としての視点、思いが隠されてもいる。子どもは、自分で遊ぶもの。ティッシュペーパーを散らかしたり、お掃除の手伝いをすると掃除機を振り回しては障子を破いたり、ふざけんぼで、いたずらばかりで、毎日楽しいことばかり。子どもたちは、カラフルなものが大好き。黄色が大好き、青も好き。書だってカラフルでいいじゃないか。真四角じゃなくてもいいじゃないか
母としての遊び心を詰め、また寧月のデザインの在り方を提示した、この「自遊」。今に生まれた子どもたちに届ける、楽しさいっぱいの書。子どもたちには、この書は背中に向けて、のびのび遊んでほしいのです。いつか、背中を向けていた書、大して興味もなかった書に、「余白の美」が隠されていると知ってくれればうれしいのです。
この書は、寧月をいろんな人につないでくれました。今を生きる人々の感性にfitする作品という寧月のコンセプトを、最もよく示してくれている作品だと思っています。
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