書の作品というのは、言葉の意味があり、
言葉をどんなふうに伝えたいのかというインスピレーションがあって、
はじめてこの世に存在することになります。
「こんな作品があったら」
というのが始まりだと思うのです。
金剛院のご住職である野々部さんはインスピレーション豊かで、
いつも「こんな作品があったら」と私に新たな課題を与えてくれます。
これまでも、何度も、野々部さんの「こんな作品があったら」に導かれてきましたが、
今回ほど、野々部さんの「こんな作品があったら」の発想に驚かされ、
尊敬の念を抱いたことはありません。
「おかげさま」の言葉を大小様々にたくさん散りばめて欲しいのです。
たまには「ありがとう」もあってもいい。
それでいて、遠くから見ると絵のように見えるような。
そんな作品があったら。
野々部さんはそうおっしゃいました。
そしてこの作品は世に生まれました。
コロナ禍の続く夏のことでした。
この世の中は、小さな「おかげさま」や「ありがとう」がたくさん集まって成り立っています。
目に見えない「おかげさま」も「ありがとう」も、大きな大きな「おかげさま」も「ありがとう」も、
人と人が関わり合って、助け合って、生きていく。
宇宙のイメージで作り上げた作品は、現代的に、スタイリッシュにアクリルボックスの中に収めてみました。
伝統的であり未来的であり、人間の想像力の続く限り。
昔作った作品「光」もまた、金剛院に飾ってくださっているようです。