私と書塾の出会いは、今から10年前、新聞の折込チラシに”古民家カフェで書道しませんか”を見つけ、元々字をきれいにに書けるようになりたいと思っていたのと、古民家で書道なんて素敵!と思い入塾させて頂きました。
入会しただけで字が上手くなった気になっていましたが(買って満足タイプ)、小学校以来久しぶりに筆を持ってみましたが、なんともお粗末な字でした。



書塾は次第に生徒が増えていき、入会される方々は皆さん字のきれいな方ばかり、そんな中で自身の下手な字をさらすのが嫌でした。
百字文から始まり実用書道、古典臨書と進めて行く中で、美しい字を習うだけではなく、書の歴史、成立ち、背景を感じながら、徐々に学ぶ楽しさを感じるようになり、自身の字の恥ずかしさよりも書の道の楽しさの方が勝ってきました。
王羲之の蘭亭序を臨書した時は字の素晴らしさに加えてその背景が絵的に頭の中に浮かびあがり、難しくも楽しい気持ちで取組めました。また私が言うのも本当に失礼な話ですが、おそらくその時代の有名な方だったのだと思いますが、この方の字も臨書するんだ?という方もいらっしゃったり(笑)



今回9回目の作品展となりましたが、未だ思うような仕上りにはならず、次こそはという気持ちや、知らなかった事を学べるワクワク感、楽しさも原動力となり、今に至っています。
また、この書塾の好きな所でもありますが、個を尊重し、自身で決めた課題に取組み、大人/子供時間を分けずに練習、それがまたいい刺激となります。子供達の発想力や感性にはいつも感心させられてばかりです。
書道に入門したら、知らない世界が広がっていて、今まで興味のなかった事が気になるようになり、心踊る体験が待っていました。
これからも楽しみながら練習に励んで行きたいと思いますので、よろしくお願いします。


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季美さんへ
2016年春、古民家カフェ蓮月の2階。書道教室と呼ぶこともできない書塾花紅で、まだまだ書道の腕にも自信が持てない私は不安がいっぱいでした。そんな私を前に現れてくれた、笑顔のご夫婦。オロオロする私をいつも淡々と受け止めてくれ、花紅を支えてくれました。
人数が増えてきた頃、世の常識に倣って子どもの時間と大人の時間を分けようかと考えていた私に、季美さんはいつもの笑顔でサラッと「子どもも大人も一緒でいいんじゃないですか」と言ってくれました。「お子さんも一緒の方が楽しいし」と。その一言のおかげで、今の書塾花紅は存在しています。
心の穏やかさがそのままに現れる、季美さんの文字。飾らない美しさがそのままに現れ出て、いつもハッと気付かされます。「無私の慈愛」のようなものが溢れ出ています。
毎月2回、一緒に過ごして10年。「本当に10年も経ったかな?」と一緒に首を傾げながら、これからさきの10年も、20年も、淡々と過ごすことができたら、とても幸せです。これからも書塾花紅の隠れた精神的支柱であり続けてください。感謝。
