仏教について知りたいと、寺子屋ブッダの門を叩いたのは昨年のこと。今回、そのご縁に導かれ、豊島区に在る金剛院さまに飾るアートを手がけさせて頂きました。
このお寺は真言宗。弘法大師こと空海さまの思いを受け継ぐお寺です。仏教についての知識は少ない私ですが、ご住職の野々部利弘さんに弘法大師さま、仏教の教えを色々と教えて頂く中で、ひとつのイメージが湧き、それを書にさせていただきました。
題は「蓮の種を見よ」。
“綺麗な蓮の花の根元には種があるわけで、
表面的なことよりも、物事の奥を見極めなさい”
という弘法大師さまの教えです。
蓮の花と「華」の書が目立ちますが、最も念入りに描いたのは、小さな「種」です。お寺では確かに、蓮の花を見ますが、今回はじめて、蓮の花は汚い泥水の中でも綺麗な華を咲かせるということ、それ故に、仏教では蓮の花を大切にしていることを知りました。
今回、金剛院は境内に「カフェ寺スなゆた」をオープン、メディアでも話題になりました。私の作品は、新しくできた1階カフェと2階イベントスペースを結ぶ階段の踊り場に飾ってくださっています。
2階から見た私の作品(写真左)
ピンクのラインが引き立つデザイン(写真右)
作品に合わせた和紙は、日本橋の小津和紙さんで調達してきました。あれこれと悩んだものの、最終的にイメージ通りのグラデーションを見つけて満足!出雲民芸染紙というものだそうです。
装丁はいつもながら渋谷の掛軸屋の佐河太心さんにお願いしました。「和紙で5㎜のラインを入れたいのですが可能ですか?」と尋ねると、「問題ありません」とすんなり。いつもその技術に助けられています。
金剛院本堂(写真左)
カフェ寺スなゆた外観(写真右)
地域に開かれたお寺、若者やお年寄り、子育て世代が集まる交流の場。とても穏やかな野々部さんからは、新しい縁社会を創るためにお寺ができることを真摯に考えていらっしゃる凛とした姿勢が伝わってきます。
本堂を案内して頂き、平安時代の掛軸、鎌倉時代の曼荼羅などたくさんの文化遺産を拝見しました。人びとの心と技術が受け継がれるこのお寺に、私も、平成という時代のひとつの作品として、書を納めさせて頂いたこと、改めてありがたく思いました。
最後は、楽しみにしていた、なゆたでのランチ。今日は、迷った末キッシュプレートをオーダー。次回はスイーツを食べに、また行きたい。
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