地元の小学校で開かれた、蛍の鑑賞会。
校庭の片隅に作られた小さなネットの貼られた小屋。
入り口に並ぶ人たちは、
まるで肝試しを待っているかのよう。
入り口をくぐると、
中は、真っ暗闇。
そして、ほのかに、光る、
緑色の
光、光、光。
ちいさくて、まあるくて、
ばらばらに、ときに集まって、
ぼうっと光る。
ふわぁっと飛んでいくものもある。
小さな娘は、「こわい」という。
蛍がきれいなことよりも、
真っ暗なのが、怖い。
作られた小川の周りの小道を
ゆっくり歩く。
蛍は、天井のネットに捕まっていたりもする。
大人たちは、思わずはしゃぐ。
子どもたちは、暗闇を恐れる。
出口を出ると、外は、明るかった。
夜だけど、都会の夜は明るい。
そう、思い出した。
暗いところでしか見られない蛍。
蛍の小さなを見るには、まず、暗闇を知らなくちゃいけない。
蛍の夕べ、都会の小さな出来事でした。