ことことと、日々を煮込むように。
3月28日新月、寧月のことこと書日記第7回をお届けします。
なにか楽しい恋愛小説はないかな〜とふらふらして、
タイトルのリズム感に惹かれて読んでみた。
森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」。
いやはや、楽しかったですね。
素敵な女子と、その女子に憧れる男子の、
先斗町でのワンダーランドな一夜の物語。
かつて私も女子大生だったころがあり、
お酒を飲んで戯れ、夜を楽しむという快楽も心得ているので、
自分の薄れ逝く若き日の記憶と京都の町に対する憧憬を重ね合わせ、
森見さんのポップな語感の心地よさに乗せられて、
ジェットコースターのように読んでしまいました。
書いてみたのは、冒頭の一文から。
「読者諸賢におかれては、彼女の可愛さと私の間抜けぶりを二つながら熟読玩味し、
杏仁豆腐の味にも似た人生の妙味を、心ゆくまで味わわれるがよろしかろう。」
いいな〜、センスあるなぁと思いました。
人生って何味なんでしょうかね?
その人その人それぞれでいろんな味がするんだと思いますが、
自分の人生に「杏仁豆腐の味にも似た妙味」が含まれていると感じられるのだとしたら、
それだけで、生きてみてよかったと思えるものでしょう。
刹那的な快楽、刹那的な高揚。
若い頃の忘れられない一夜ってありますよね。
そういうものを抱きしめて、生きていく大人の人生は悪くありません。
4月から、こちらの小説はアニメとして映画化されるようですね。
星野源さんが声優もされるということで、これもまた楽しみだったり。