[ことこと書日記 vol.16]穂村弘「はじめての短歌」より


ことことと、日々を煮込むように。
8月8日満月、寧月のことこと書日記第16回をお届けします。

今日は、面白い短歌をご紹介します。

穂村弘さんという歌人がいらっしゃり、
どこかでその和歌を目にして、惚れてしまった記憶がありますが、
その穂村さんが短歌の書き方を指南している本に、
「はじめての短歌」というのがありまして。

この本は、普通に読んで、爆笑必至!
短歌の指南本がなぜにこれほど面白いのか!!

ざっと読むだけでも、穂村さんのすごさを痛感させられる一冊なのです。
有名になってしまった又吉直樹さんのセンス溢れる和歌も紹介されていて、
これもまた、面白い。

そんななかでも、私が最も気に入って、
もう好きで好きでたまらない歌が、これ。

「はじめての短歌」より

「『煤』『スイス』『スターバックス』『すりガラス』『すぐむきになる君が好きです』」

やすたけまりさんという方の、短歌ですが、
どういうことかというと、これ、しりとりになってるんですね。
恋人同士と思われる男女が、「す」縛りのしりとりを行っている。

男:「煤」
女:「スイス」
男:「うーん、スターバックス!」
女:「うー、うー(むきになりはじめる)、あ!すりガラス!」
男:(そんなむきになった彼女に対して)「すぐむきになる君が好きです」

↑こんなシチュエーションを詠んだ短歌というわけです!

穂村さんはこの短歌を紹介する段でこう言います。
「愛の告白も短歌も、欠点を愛することが大切」。
なるほど、ラストの言葉が「すてきなえがおの君が好きです」では、
この短歌は魅力半減というわけです。

面白い。

穂村さんの紹介する短歌、大好き。

 

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