少し久しぶりになりましたが、書塾の子どもたちについてお伝えするブログ第4弾です!
今回は、独自の路線で書の学びを進める現在小学6年生のRさん。Rさんは2年生から通ってくれているので5年目となります。Rさんは自分のやりたいことをとてもしっかり持っているお子さんで、私も書塾を築く過程でとても学ばされている存在です。
何がすごいかというと。
基本的に進め方は自由な書塾ですが、Rさんも始めの頃は墨泉という競書雑誌の書写課題を月1回ペースで提出していました。ところが4年生になったある日、真剣な面持ちで私の前に座り「先生相談があるんです。私、墨泉はやりたくないんです」と言ったのです。よく考えてのことと伝わってきたのでさらに話を聞いてみると「これからは“かな”の勉強がしたい」のだと。
当時はまだ小学生でかな文字に挑戦している子どもはおらず、私も迷いましたが、真剣さが本物だったので了承し、高校の書道1の教科書を渡しました。すると、Rさんはとっても嬉しかったようでお家に帰ってから書道1の教科書と一緒にニコニコの笑顔で撮った写真を送ってくれました!
その後、かなで「いろは」を書き、変体仮名を学びました。変体仮名は大人でもなかなか理解がむずかしいところですが、Rさんはこの変体仮名が本当に好きなようで、何と、書塾の友だちに変体仮名を暗号文として使って手紙を出して遊んだりしていました↓。内容は「男子滅亡作戦」という、小学生女子らしいもの(笑)。
書塾の時間はかな文字を自由に書き、作品展もいつも極めて自由。自分が書きたいものをいつもその日の気分でしっかり選びとっている様子。絵もとても上手で、毛筆の毛先使いは見事なものです。
かな文字ばかり書いていて、大筆に自信を失くした時期もありました(当然のことです)。けれど、小5の夏休みの自由研究では百字文に取り組み、書き終わる頃にはだいぶ自信を取り戻してくれていたように思います。百字文ムービーでも立派な一枚を見せてくれました!
そして今年の作品展。正岡子規の俳句を美しく仕上げてくれたRさん。たくさんの方から「小学生とは思えない」という声をいただきました。きちんと変体仮名を理解しているから書ける一枚です↓。
しかしながらRさん自身はこの作品に全く自信がない。「線が美しくない」と言うのです。実は今年の夏には自分から「熊谷恒子記念館に行きたい」と、ご家族に頼んで連れて行ってもらったと言うRさん。比べているのは熊谷恒子さんのあの細くて美しい線です。満足できるはずがありません(笑)。高く高く上を見ている!
小学生最後の書き初め展、Rさんはクラス代表に選ばれました。「夢の実現」、墨量豊かでしっかりとした作品です!大筆楷書もとても上手になりましたね〜学校代表になれなかったのが残念!
書道の世界は広く、大筆も、小筆も上手になるのにはとても時間がかかります。限られた時間の中でRさんがこれから何を選び、どんな風に学んでいくのか、楽しみに見守っていきたいと思います。
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