書塾の子どもたちについてお伝えするブログ第5弾!(ますます面白い子どもたちが増える書塾、、、ブログは追いつきません。ゆっくり行きます)
今回は、この春で中学1年生となりました、もうすぐで書塾6年目となるSさんのお話です。Sさんは、小学2年生から通ってくれていますが、通い始めた頃から誰よりも丁寧。誰よりも時間をかけて、一枚一枚をしっかり仕上げる子でした。今もそのスタイルは変わっておらず、気に入らない時には一つの課題も次回に持ち越して、2回分およそ3時間かけて書いて帰る。その集中力、向上心は群を抜いています。
そんなSさんの小学校生活の集大成がこちらの書き初めでした。一つ一つの点画に緊張感があり、圧倒的な力を放つ一枚。学校代表として大田区の書き初め展に飾られました。
さて、書塾花紅は自由を重じているために、子どもたちはほとんどの時間を好きな言葉や文字を書いて過ごします。そんな書塾なので、正直なところ、書写の指導はかなりゆるいです…。そんな書塾で、Sさんはどのようにこの書写力を身につけたのか。今回はその軌跡を辿ってみたいと思います。
さて、こちらはSさんが小学2年生のときの作品です。墨泉という競書雑誌の月例課題を書いたものですね。初々しい作品ですが、この頃からSさんはとにかく一枚をゆっくり仕上げていました。「どう?」と聞いても、なかなか見せにこない。「上手だよ!」と言っても、「○○が気になる、書けていない」と言ってやり直す。他の子どもたちが課題を終了して他の書きたい文字に移っていても、Sさんは一人根気強く、毎月の書写課題を時間かけて書くのです。毎月、毎月。
3年生のときの作品展では楷書で「秋は夕暮」。枕草子の言葉を選んでくれましたがすでにかなり整ってきていますね。4年生の作品展ではお母様と一緒に王羲之「蘭亭序」の臨書に挑戦しました。初めての行書で悩んでいましたが、丁寧さ、根気づよさで冒頭を書き上げ、そして、、、
5年生のときには夏休みの自由研究、書塾の作品展で半切作品(縦130㎝程度)を仕上げました!初々しい行書ながら、難しい旧字にもめげることなく、線の強弱にも気を配って書いているのがわかります。半切は1枚書ききるだけでも体力を使いますが、何枚も何枚も、頑張って書いていました。
4年生では書き初め代表になるも、5年生では行書ばかり書いていたせいもあって選出されず、少し悔しそうな表情だったSさん。6年生では本格的に楷書を学ぶべく楷書の中の楷書「九成宮醴泉銘」を勧めてみたところ、難しさに怯むことなく探求を開始。
小6作品展で仕上げた半切1/2の作品。細くて強い線の再現、見事です!
毎月の書写課題を誰よりも丁寧に仕上げ続けて5年、蘭亭序、九成宮醴泉銘と古典臨書に励んで3年。まだまだ課題はあるものの、書き初め「夢の実現」で見せた線の力強い美しさは、大田区書き初め展の中でも光を放っていたように感じています。誰しもができるわけではない、Sさんだからこそ到達できた境地です。
そして、今は、、、空海「風信帖」に挑んでいるSさん!行書、草書、様々な書体に挑み、そして書道だけではなく陸上や英語も得意なSさん。幅広い分野で活躍し、「書は人なり」を体現するような説得力のある書が書ける人物に成長してくれることとさらに期待しています!
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