もう冬の気配を感じるこの頃ですが、夏休みのお話です。
大田区立徳持小学校の学童保育である徳持放課後ひろば(運営:株式会社サクセスアカデミー)にて、アート書道のワークショップを行なわせていただきました。
参加してくれたのは、夏休みに学童保育を利用している小学1年生から5年生の子どもたち。ブルーシートが敷かれたいつもとは違う保育室にやって来ては「今日何やるの?」と目をきらきら。
毛筆を使っての書写の授業は3年生からということで、その日始めて筆を持つという子も。「墨は洋服についたら落ちないからね」と言うと、それだけで緊張した様子。下敷き、半紙、文鎮、筆といった用具の説明をしたあと、早速、筆を持って書道スタートです。
筆とえんぴつの違いは何だろう?
筆は、一本で太い線も細い線も書けるところが便利。まず始めに、子どもたちに太ーい線と細ーい線を書いてもらいました。太い線はなかなか上手。細い線は、一度でスーッと書いてしまう子もいれば、手がプルプルと震えて途中で切れてしまう子も。丁寧な子、思い切りのいい子、子どもの性格がよく出ます。
大きい丸や小さい丸を色々と書いてみたあと、筆に慣れて来た子どもたちは、やがて自由に筆を動かすようになっていきます。「丸や線を使って自由に書いてみていいよー」と言うと、二つの円がブタさんに見えてきて顔を書き出す子がいたり、ぐるぐると抽象的なアートを生み出してくれる子もがいたり。中には、「自由」と言われたのがうれしくなって、自分の内側に眠っていたエネルギーが開放されたように何枚も何枚も書きはじめる子もいました!筆もおしゃべりも止まらない(笑)!
この日は、「ミニ掛け軸」を作るのが課題。そもそも「床の間」や「掛け軸」を知らない子どもたち。「こうやって、壁にかけて飾るものを掛け軸っていうんだよ」というと「へぇ〜」と、これだけでも日本文化の勉強になるんだなぁと思いました。先生たちが作ってくれた小さな掛け軸に合わせて、好きな文字を書いていきます。
最後に、全紙サイズの大きな紙に「徳持放課後ひろば」と書く、書道パフォーマンスを。
「プロの技を間近で見せることに意味がある」と話していた先生。先生が意図していた通りか、パフォーマンスが始まると誰一人おしゃべりする子どももいなくなり、その場の空気はさっきまでの賑やかな雰囲気から一転しました。私は書く方に集中していたのですが、それでも子どもたちが筆の動きを目で追いながら呼吸を止めて集中していてくれていたのを感じました。書き終わると、大きな拍手が!とってもうれしい瞬間でした。
書は、これから保育室に飾ってくださるとのことです。
「習字=つまらない」のイメージは強く、模倣を重んじる書道の魅力を短い書写の時間で子どもたちに理解してもらうのは簡単ではありません。書道の上達の過程は模倣ばかりであったとしても、書道の最終的な目的は、自由に、思いのままに書けるようになること。まずは、その「自由」のむずかしさを子どもたちに感じてもらえることができればと、アート書道の活動を続けています。
「あの子のあんな姿、始めて見た」
そんなお言葉も聞くことができ、子どもたちの心と身体のどこかに、アート書道体験が残っていってくれたらと思いました。
子どもと書道するのって本当に楽しい!今回、このような活動の機会をくださった先生方、ありがとうございました。
>>寧月の教育活動についてはこちら