子どもたち、先生となる。〜イスラエルとの交流会〜


今年も、イスラエル日本文化センターの皆さまが池上にやってきてくれました。

百字文を気に入ってくれたことで繋がったイスラエル日本文化センターとの不思議なご縁。昨年は百字文を順に書く百字文リレーをするワークショップをしましたが、意外なことに、そのワークショップでのイスラエルメンバーからの一番の感想は「日本の子どもたちはすごい!また一緒に書きたい!」というものでした。

今回も、「子どもたちが書くところを見たい」という強いご希望を受けて、蓮月でワークショップを開催。私のパフォーマンスを軽く行ったのち、学校の授業のあと急いで駆けつけてくれた子どもたちが百字文の最後の言葉「生命美也」を堂々と書いてくれました!Tirza先生から「子ども先生」と紹介されたことに応え、英語での自己紹介も堂々と、二人の文字も素晴らしく、拍手喝采でした!!

蘭亭序「仰ぎて宇宙の大を観る」を用いた創作をしてみました。
蘭亭序「仰ぎて宇宙の大を観る」を用いた創作をしてみました。
入塾したばかりの小学三年生。立派でした!!
入塾したばかりの小学三年生。立派でした!!
イスラエルの方も「生命美也」を。杉原千畝氏に助けられたご家族と知って驚き。
イスラエルの方も「生命美也」を。杉原千畝氏に助けられたご家族と知って驚き。

昨年の交流で、イスラエルの方々がとてもアーティスティックなことを知っていた私。今年はアート書のワークショップができたら、と考えていました。とはいえ、「ぐるぐる」や「ギザギザ」を書く運筆を使った私のオリジナルの手法は、すでに星野リゾート界仙石原でもお馴染みとなっていルものの海外の方にやったことはないので通用するのか不安も。「幸」の漢字をいかに「幸せ」に書くか、線の表現、文字の配置などのコツを教える形で試してみました。

結果的に、いつもの運筆を使ったアート書のオリジナル手法は、すでに書道をよく知っているイスラエルの方々にもとても効果的だったようで、「はじめてのやり方だったけど、あれはあなたの独自の方法なの?」「今まで書けなかったような線が描けてよかった!」と嬉しい感想をいただきました。「他の外国人にも通用するからぜひまたやってみて!」と背中を押していただきました。

まずは楷書「幸」から。楷書が一番難しいと話すTirza先生。
まずは楷書「幸」から。楷書が一番難しいと話すTirza先生。
運筆練習をした後の、それぞれの「幸」の表現。線の表現に多様性があります。
運筆練習をした後の、それぞれの「幸」の表現。線の表現に多様性があります。

最後は、浅葱色など様々な色の大きな画仙紙で、自由な書を。ダイナミックに表現に、書塾花紅のメンバーも圧倒されていました。終始、紙を配ったり、小学生の子どもたちはよく働いてくれました。

みなさん、とても熱心でたくさんの質問を受けました。
みなさん、とても熱心でたくさんの質問を受けました。

ワークショップを終えた後は、にれの木に移動しての夕食会。書塾花紅の子どもたちはあらかじめ日本文化を紹介しようといろんな準備をしてくれていました。和綴じをした百字文の作品にはイスラエルの方々もとても感心していて「これを書くには私はこれから10年練習しないと」と話してくれていました。ソーラン節もとても盛り上がりました!

小5女子によるソーラン節。背中には百字文「笑談未来」の文字!
小5女子によるソーラン節。背中には百字文「笑談未来」の文字!
子どもたちを見る目はあたたかい。
子どもたちを見る目はあたたかい。

そして、今回とても感動したのは、一人のイスラエルの方が私に持ってきてくれた百字文の作品でした。「2年前に百字文に出会って、それから何度も練習した。百字文は徐々に物語が盛り上がっていくような感じで、とても美しい。1年目は練習で終わってしまったけど、今年は作品にすることができてとても嬉しい」。そんな風に話してくれた彼女の思いに、私はただただ嬉しく、百字文を作って本当によかったと改めて感じました。

イスラエルの方が創ってくれた百字文の作品。漢字の横にヘブライ語が並ぶ。
イスラエルの方が創ってくれた百字文の作品。漢字の横にヘブライ語が並ぶ。

書は人であり、書は心である。

そう感じさせられる、soulfulな不思議な時間でした。帰り際に一人の方から、「あなたの書塾は子どもたちも一緒に学んでいるの?」と尋ねられました。「そうよ」と答えると「それは素晴らしい。子どもは子どもたちの先生になれる」、と。

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